SAPは採用と出張費を抑制し、従業員をAI関連職種に再配置する方針を強化。企業向けソフトウェア企業が人工知能にリソースを振り向ける流れに合流する。
SAPは採用と出張費を抑制し、従業員をAI関連職種に再配置する方針を強化。企業向けソフトウェア企業が人工知能にリソースを振り向ける流れに合流する。

欧州最大のソフトウェア企業であるSAPは、人工知能(AI)にリソースを振り向けるため、採用と出張費の抑制を強化している。この動きは、AIの波がエンタープライズテクノロジー予算をどのように変革しているかを示している。
ドイツのソフト大手は従業員に対し、AI投資のための資本を捻出するため、採用と出張費により厳格な規律を適用すると伝えた。関係者が明らかにした。
「SAPは、AIが顧客に最大の価値を提供できる分野にリソースを再配分している」と同社の広報担当者は述べた。広報担当者は、影響を受ける役職の数や期待されるコスト削減額については明言を避けた。
本社をドイツ・ヴァルドルフに置くSAPは、AI開発に資金を振り向けるため、非中核的支出を抑制するエンタープライズソフトウェア企業の一社である。SAPのクラウド移行により、第1四半期の営業利益率は28.5%に達したが、新たな措置は、AI主導の市場で競争するにはさらなる効率化が不可欠と経営陣が判断していることを示唆する。
SAPの世界従業員数は約10万7000人。同社は人員削減目標や出張費削減の具体的な金額を開示していない。再配置計画は大規模なレイオフではなく、既存社員をAI関連の製品ポジションに移すことに重点を置いていると、関係者は述べた。
なぜAI投資が出張費予算を圧迫するのか
エンタープライズソフトウェア企業はジレンマに直面している。AI人材にはプレミアムな給与水準が必要であり、モデルの訓練や展開に必要なコンピュートインフラも高額だ。SAPの第1四半期のクラウド売上高は前年同期比25%増の43億ユーロに達したが、同社はAI機能への投資に伴い、利益率が圧迫されるとの見通しを示している。
SAPのクラウドERPスイート全体に組み込まれたBusiness AIプラットフォームは、Oracle、Microsoft、Workdayの提供製品と競合する。Oracleも同様にAI支出を加速させており、Microsoftは今会計年度にデータセンター建設に800億ドル以上を投じている。SAPのより慎重なアプローチ(積極的な採用ではなく既存従業員の再配置)は、利益率規律へのこだわりを反映している。
出張費の抑制は、営業部隊が従来、欧州・中東・アフリカ地域での対面での顧客訪問に依存してきた同社にとって注目すべき点だ。SAPの現場事業は180カ国以上に及び、出張費は重要な費用項目となっている。
投資家にとっての意味合い
SAPの株価は今年18%上昇し、12%上昇のSTOXX Europe 600テクノロジー・インデックスをアウトパフォームしている。ブルームバーグのデータによると、同社株のフォワードPERは24倍と、マイクロソフトの31倍に比べ割安だが、オラクルの21倍に比べ割高となっている。
コスト規律の強化は短期的な利益率を支える可能性があるが、真の試金石はSAPがAI投資を持続可能な収益成長に転換できるかどうかだ。同社のクラウドバックログ(重要な先行指標)は第1四半期末時点で152億ユーロ、前年同期比27%増となった。アナリストは、AI機能が新たな顧客コミットメントを生み出しているシグナルとして、この数字の加速に注目するだろう。
SAPの次回決算発表は7月22日に予定されており、投資家はコスト再配分戦略の進捗状況を初めて詳細に確認することになる。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。