主なポイント: 孫正義氏は、AIの未来は地上にあると確信し、オハイオ州に原子炉10基分の電力を消費する単一データセンターを建設する。
主なポイント: 孫正義氏は、AIの未来は地上にあると確信し、オハイオ州に原子炉10基分の電力を消費する単一データセンターを建設する。

ソフトバンクグループの孫正義会長は、オハイオ州に世界最大のデータセンターを建設する計画を明らかにした。この単一施設は原子炉10基分に相当する電力を消費し、同社のAIインフラ推進を加速させる。
「この事業だけで莫大な利益を生み出す」と孫氏は6月24日のソフトバンク定時株主総会で述べ、オハイオ州開発に関して顧客と基本合意書(MOU)を締結していることを明らかにした。
ソフトバンクの電力子会社SBエナジーを通じて進められるこのプロジェクトは、約100億ワット(10GW)の容量を供給する見込みで、これは約1000万世帯分の電力に相当する。比較として、米Meta Platforms Inc.がオハイオ州ニューオールバニに建設中のデータセンター「プロメテウス」は、今年の稼働開始が見込まれており、AIワークロードに10億ワット(1GW)を割り当て、約300億ドル相当の半導体を収容するとエコノミスト誌は報じている。100億ワット級施設は、既存の最大規模ハイパースケールプロジェクトと比較して電力消費が10倍に跳ね上がることを意味する。孫氏は顧客の身元、プロジェクトのスケジュール、総投資額については明らかにしなかった。
この計画は、孫氏が競合する構想を退けながらも、ソフトバンクがAIインフラ競争をリードする決意を示している。同総会で孫氏は、イーロン・マスク氏が提案する軌道上データセンター構想を退け、電力費はAIインフラコストの約7%に過ぎず、チップなどその他の費用が残りの93%を占めると主張した。「勝負は今後数年で決まる」と孫氏は述べ、「何が起こるか全く分からない宇宙に注力するよりも、もっと近視眼的な視点で集中したい」と語った。
オハイオ州のプロジェクトは、既存のハイパースケール施設を凌駕する規模となる。メタのプロメテウス拠点は10億ワット級ですでに過去最大級のAIデータセンターとみなされていた。100億ワット級施設は、小都市の送電網全体に匹敵する電力インフラを必要とし、送電網容量や地域住民の反対懸念を引き起こす可能性がある。エコノミスト誌が6月23日に報じたところによると、米国ではデータセンターへの逆風が広がっており、電力と水資源への負担に地域社会が抵抗している。オハイオ州だけでも、データセンター建設の急増により、エネルギー価格と送電網の信頼性をめぐる議論が活発化している。
SBエナジーのプロジェクトにおける役割は、エネルギー公益事業とテックインフラの接点が拡大していることを浮き彫りにしている。ソフトバンクは太陽光や風力プロジェクトを開発するために再生可能エネルギー部門を設立しており、オハイオ州のデータセンターは同社にとって過去最大の単一サイト電力供給となる。フーバーダムの約7倍に相当する100億ワットの電力を確保できるかどうかは、送電網接続の承認と州レベルの規制支援にかかっている。
ソフトバンクの地上アプローチは、宇宙空間でのコンピューティングを追求するテック億万長者たちとは対照的だ。アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏やグーグルのサンダー・ピチャイCEOは、AIのエネルギー需要解決策として軌道上データセンターを支持しており、ピチャイ氏はその構想を「ムーンショット」と呼んでいる。一方、OpenAIのサム・アルトマンCEOはこの構想を「馬鹿げている」と一蹴し、「軌道上データセンターは、この10年で大規模に重要になるものではない」と2月に述べている。スペースXは「軌道上データセンターとして機能する100万基の衛星コンステレーション」の構築を目指しており、そのためのエンジニア採用を開始している。
投資家にとって、この規模は複数のセクターに影響を及ぼす。100億ワット級施設には数十万基のGPUを収容できる可能性があり、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズへの数十億ドル規模の受注につながる。また、エネルギーや送電網インフラ企業も電力供給要件から恩恵を受けるだろう。ソフトバンクグループ株(9984.JP)はAIを巡る思惑に一部牽引されてきたが、財務詳細が不明なため、短期的な業績への影響は評価しにくい。本プロジェクトが実現すれば、ソフトバンクは世界最大級のハイパースケール事業者と肩を並べることになる。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。