OPECプラスの8月増産とイランの供給再開懸念が、需要の弱い中国と相まって、原油過剰感を一段と強める恐れがある。
OPECプラスの8月増産とイランの供給再開懸念が、需要の弱い中国と相まって、原油過剰感を一段と強める恐れがある。

OPECプラスの8月増産とイランの供給再開懸念が、需要の弱い中国と相まって、原油過剰感を一段と強める恐れがある。
OPECプラスは8月から日量18万8000バレルの増産を実施する。これで7カ月連続の増産となる。イランが制裁緩和後の原油在庫整理を進める一方、最大の輸入国である中国が追加購入に慎重な姿勢を示していることが背景にある。
「当面の焦点は、どれだけのタンカーがホルムズ海峡を通過できるか、そして需要と中国の原油輸入がどの程度回復するかだ」とUBSのアナリスト、ジョバンニ・スタウノボ氏は指摘する。
ブレント原油は金曜日に1バレル=約72ドルで取引された。2月28日の米イスラエルによるイラン攻撃後に一時120ドル超まで上昇したが、その後は紛争前の水準に戻っている。OPECプラスの生産量は、ホルムズ海峡封鎖によりサウジアラビア、クウェート、イラクからの輸出が滞った影響で、2月の日量4277万バレルから5月には3313万バレルにまで落ち込んだ。6月には米国主導の取り組みによりアラブ首長国連邦(UAE)などが代替ルートでの輸送を再開したことで一部回復したが、生産量は依然として戦前の水準を大きく下回っている。
OPECプラスの供給回復とイランの輸出再開が重なることで、世界最大の原油輸入国である中国の買い控えも相まって、供給過剰が一段と深刻化する恐れがある。中核7カ国にはまだ約37万9000バレルの削減解除余地が残っており、現在のペースが続けば9月までに完全解除となる見通し。次回会合は8月2日に開催される。
今回の8月増産は、2023年4月に合意された日量165万バレルの自主減産の段階的解除を延長するものだ。UAEは4月下旬に同盟を離脱し生産規制から脱している。残るサウジアラビア、ロシア、イラク、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーンの7カ国は4月以来、約80万バレルの回復を進めてきたが、ホルムズ海峡が事実上封鎖されている間、この増産の多くは名目上のものに過ぎなかった。
イランの輸出正常化が現実味を帯びることで、供給リスクはさらに高まる。テヘランは制裁期間中に大量の原油在庫を積み上げており、輸出が正常化すれば、それらの在庫がOPECプラスの増産分を吸収している市場に流れ込む可能性がある。しかし、歴史的にイランの最大の顧客である中国は、原油購入を積極的に増やす姿勢を見せていないとトレーディング筋は指摘する。国内の燃料需要低迷により製油マージンが縮小しており、割安なイラン産原油を購入するインセンティブが低下しているためだ。
OPECプラスが同様の供給回復と需要低迷の confluence に直面したのは2020年半ばのことだ。当時、生産削減にもかかわらず、ブレント価格は需要が回復するまで数カ月にわたり40ドル近辺で推移した。今回は、ホルムズ危機の際に実施されたIEAの協調的な戦略備蓄放出がさらなる供給緩和要因となり、物理的な混乱が続く中でも原油価格は72ドル近辺に張り付いている。
産油国にとって歳入への影響は大きい。ブレント72ドルは、ほとんどのOPECプラス加盟国の財政均衡価格を下回る。IMFの試算によると、サウジアラビアが財政収支を均衡させるには1バレル=約85ドルが必要だ。その水準を下回って5ドルの持続的な下落が生じるごとに、サウジの財政赤字は年間約150億ドル拡大する。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。