重要ポイント
- ヘグセスはアジアの同盟国に対し、国防支出をGDPの3.5%に引き上げるよう要求。達成国には報酬、未達成国には不利益が課される
- 国防長官は台湾や「中国共産党」への言及を省略。トランプ・習近平首脳会談後に軟化したトーンを示す
- 域内の同盟国は目標を非現実的と反発。中国は20年ぶりの低レベル代表団をフォーラムに派遣
重要ポイント

ピート・ヘグセス国防長官は、アジアの同盟国に対し軍事支出をGDP比3.5%に引き上げるよう求める一方、北京に対して顕著に軟化したトーンを示した。ドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談後、米国の地域戦略に変化があったことを示唆している。
シンガポール — ピート・ヘグセス国防長官は、米国のアジア同盟国に対し、中国への抑止力として軍事支出をGDP比3.5%に引き上げるよう求める一方、北京に対する対立的なレトリックを和らげ、台湾や中国共産党への言及を一切省略した演説を行った。
「米国が富裕国の防衛を補助する時代は終わった。我々が必要としているのは保護国ではなく、パートナーだ」とヘグセスは土曜日、シンガポールで国際戦略問題研究所(IISS)が主催する年次安全保障会議「シャングリラ・ダイアローグ」で述べた。支出目標を達成した国は「迅速な武器売却、深い産業基盤の協力、拡大された情報共有」を受ける一方、「自らの責任を果たさない」国は不利な扱いを受けると述べた。
ワシントンの主要なアジアパートナーのうち、現在3.5%の目標を達成している国はない。シンガポールと韓国がそれぞれGDP比約2.8〜3%と2.8%で最も近い。日本は現在の防衛強化のもとで約2%に近づいており、オーストラリアは約2%を支出している。この基準値は、トランプ氏がNATO加盟国に対し2027年までに5%目標の採用を求める動きを反映しており、より多くの防衛コストを同盟国に転嫁しようとする政権の広範な取り組みを示している。
今回の演説は、ヘグセスが昨年のフォーラムで「中国共産党」を繰り返し脅威と呼び、中国による台湾侵攻に警告を発した演説からの転換を示した。今年は、米中関係は「ここ数年で最も良好な状態にある」と述べ、2週間前に北京で行われたトランプ氏と習氏との首脳会談を双方が成功と称賛したことを挙げた。質疑応答で台湾について質問されたヘグセスは、今後の武器売却に関するいかなる決定もトランプ大統領に委ねられており、「我々の立場に変更はない」と述べた。
同盟国、支出目標に反発
3.5%という基準値は、さまざまな経済状況を考慮していないとして、地域の防衛当局者から即座に反発を招いた。フィリピンのギルベルト・テオドロ国防長官は記者団に対し、この目標は「農業経済にとっては特に困難」であり、7,600の島々からなる群島国家でインフラ、教育、医療にも投資しなければならないと述べた。マレーシアのモハメド・ハーレド・ノルディン国防相は円卓会議で、「すべての国が異なる状況、優先事項、そして制約に直面している」と述べ、国防支出の急増は開発を犠牲にする可能性があると警告した。
この支出要求は、米国のリーダーシップに対する地域の信頼が低下している中で出された。ISEAS-ユソフ・イシャク研究所が1月から2月にかけて実施した調査では、トランプ政権下の米国のリーダーシップが東南アジアの知識人の間で最大の地政学的関心事となり、昨年の調査で最大の懸念だった南シナ海緊張を上回った。IISSは金曜日に発表したアジア太平洋の安全保障に関する年次評価で、トランプ氏の「同盟・パートナーシップに対する取引的アプローチは、世界中の米国の同盟国に不確実性をもたらしている」と述べた。
会議に出席したイリノイ州選出のタミー・ダックワース上院議員(民主党)は記者団に対し、政権が「インド太平洋における我々の責務を犠牲にして、世界の他の地域で自らが始めた戦争に気を取られている」ことを懸念していると述べた。さらに「我々の大統領は、北京の望み通りに動く政策を進めているように見える」と付け加えた。
中国、20年ぶりの低レベル代表団を派遣
中国はヘグセスの軟化したトーンに慎重な楽観論で応えたが、中国の高級軍将校がフォーラムに参加し始めてから約20年で最低レベルの代表団を派遣した。北京国防大学の教授である孟祥青少将は、中国は「米中両国が歩み寄り、両首脳の合意を具体的な行動に移すことを期待している」と述べた。清華大学の周波退役大佐は、ヘグセスの演説は昨年よりも「より穏健」であり、トランプ氏と習氏が「建設的かつ戦略的パートナーシップ」を構築することで合意したことの重要性に言及。これは米国が「中国を同等の国力を持つピアパワーとして公式に認めた」初めてのケースだと述べた。
それでも、紛争取引への道筋は依然として不透明だとアナリストは述べた。カーネギー国際平和財団の上級研究員で演説に出席したアンキット・パンダ氏は、ヘグセス氏は「彼が中国との『品位ある和平』と呼ぶもの」に米国がどのように到達することを期待しているのか、特に「長官の演説の多くが lethality(殺傷力)や優位性といったテーマに傾いている」中で、明確なビジョンを示さなかったと述べた。ベトナムのトー・ラム国家主席は金曜日の基調演説で、「力が正義を決める」という「無制限の競争」が最大のリスクの一つであると警告した。
米国がかつて同様の方法で中国に対する地域的な姿勢を転換したのは、2017年のトランプ・習氏マール・ア・ラゴ首脳会談後である。その際、二国間貿易は一時的に成長したが、その後2019年までに2500億ドルの中国製品に25%の関税が課せられ、米国勢調査局のデータによれば、18ヶ月間で二国間貿易額は約15%減少した。現在の軌道は、外交的関与の後に取引的な摩擦が続き、国防支出要求が競争に新たな次元を加えるという同様のパターンを示唆している。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。