要点:
- ゴールドマン・サックスは、ASMLの12ヶ月目標株価を1,570ユーロから1,600ユーロに引き上げ、約22%の上値余地を示唆するとともに、「買い」評価を再確認しました。
- 同行は、AI需要の加速、世界的なファブ拡張、先端チップにおけるEUV技術の採用拡大を理由に、ASMLは過小評価されていると主張しています。
- この判断は、主要顧客による新型機の導入遅延や、売上高の19%を占める中国に対する米国の輸出制限の可能性といった逆風の中で下されました。
要点:

ゴールドマン・サックスは、ASMLホールディング(NASDAQ:ASML)の目標株価を1600ユーロに引き上げ、人工知能の構築における同半導体装置大手の重要な役割を市場が過小評価していると主張しました。
ゴールドマン・サックスはレポートの中で、「ASMLは歴史的に約20%のプレミアムで取引されてきたにもかかわらず、現在は世界の半導体製造装置の競合他社に対してわずかにディスカウントされて取引されている」と指摘しました。同行は、極端紫外線(EUV)露光装置におけるASMLのほぼ独占的な地位と、加速するAI関連の成長を考慮すると現在のバリュエーションは不当であるとし、「買い」評価を維持しました。
従来の1570ユーロから引き上げられた新しい1600ユーロの目標株価は、直近の株価1308.20ユーロから約22%の上値余地を示唆しています。ゴールドマンの強気シナリオは、市場が織り込み不足であると同行が考える3つの核心的要因に基づいています。それは、EUVツールの販売を牽引する持続的なAI需要、世界的なファブ分散による製造効率の低下に伴う装置需要の増加、そして先端チップに必要なEUVレイヤー数の継続的な増加です。
しかし、この楽観的な目標株価は、ASMLが大きな逆風に直面している中で設定されました。株価は過去1年間で既に91%上昇しており、最大顧客である台湾積体電路製造(TSMC)による次世代機の導入遅延や、旧型装置の中国への販売停止を招きかねない地政学的リスクといった課題に直面しています。
ゴールドマン・サックスは、クラウドプロバイダーによる底堅い設備投資を将来の需要の主要な指標として挙げました。同行は、世界のウェーハ製造装置への支出が2027年には1860億ドル(約1860億ドル)に達すると予測しており、これは以前の予測から大幅な増加となります。この支出は、ASMLの装置で製造された先端チップに依存するAIデータセンターを構築する緊急の必要性によって推進されています。
2026年第1四半期、ASMLは売上高88億ユーロに対し、28億ユーロの純利益を報告しました。しかし、同社は第2四半期の売上高を約87億ユーロ、粗利益率を51.5%と予想しており、わずかな減速を予測しています。これはコスト圧力が要因である可能性を示唆しています。
2つの主要なリスクが強気の見通しを抑制しています。第一に、TSMCがASMLの新型「高NA(High-NA)」EUVシステムの導入を延期し、次期ノードでは既存の技術に依存することを選択したと発表しました。これにより、ASMLにとって重要な次世代収益源のタイムラインが乱れることになります。
第二に、貿易摩擦の激化により、米国が中国への旧型の深紫外線(DUV)露光システムの販売を禁止する可能性があります。第1四半期の中国向け売上高はASMLの収益の19%を占め、前年同期の33%から低下しました。アナリストは、完全な禁止が実施されれば、同社の総収益の約5%が失われる可能性があると見積もっています。
更新された目標株価は、強力なAIの追い風が、最終的には顧客の導入遅延や地政学によるリスクを上回るというゴールドマン・サックスの自信を示しています。投資家は、競合する圧力の下で利益率が維持できるかどうかを確認するため、同社の次回の決算報告を注視することになるでしょう。
この記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。