主なポイント
- ユーロ圏の鉱工業生産は4月に上昇。工場が受注対応のため生産を加速
- 中東紛争を背景に、顧客が値上げや供給不足を回避する動きが増加
- 先週ECBは利上げを実施し政策金利は2.25%に。米イラン協議進展でホルムズ海峡再開の可能性も
主なポイント

ユーロ圏の鉱工業生産は4月に再び増加。メーカー各社は中東紛争による供給混乱を前に、供給を確保しようとする顧客からの受注を処理するのに追われた。
ユーロスタットが月曜日に発表したデータによると、ユーロ圏の鉱工業生産は4月に増加し、工場が中東戦争に伴う価格上昇や供給不足を懸念する顧客からの受注 backlog を処理したことで、回復基調が続いた。このデータ発表と同じ週、欧州中央銀行(ECB)は主要預金金利を25ベーシスポイント引き上げ2.25%とした。これは2023年以来初の利上げであり、ホルムズ海峡閉鎖によるエネルギー価格ショックがインフレを押し上げたことを受けての措置だ。
「この生産回復は、サプライチェーンのボトルネックに先手を打とうとするメーカーとその顧客による、先取り的な在庫積み上げを反映している」と、エッジンのマクロアナリスト、ジェームズ・オカフォー氏は述べた。「問題は、これが一時的な需要の前倒しか、それとも持続的な回復の始まりかということだ。」
鉱工業部門は、ホルムズ海峡の閉鎖がエネルギー供給を混乱させ、年初にブレント原油を1バレル90ドル超に押し上げて以来、圧力にさらされてきた。ブレントはその後、米国とイランが海峡再開に向けた暫定合意に達したことを受け、1バレル83ドルまで下落。正式な署名は6月19日にスイスで行われる予定だ。ユーロ圏株価は金曜日、この合意への楽観論から2.1%上昇した。
先週のECBによる利上げは、主要経済大国が高まるエネルギーコストに直面する課題を反映したものだ。中銀はインフレ予測を上方修正し、成長予測を下方修正。クリスティーヌ・ラガルド総裁はややハト派的なトーンを打ち出したものの、アナリストは9月にも追加利上げの可能性があるとの見方を示した。DZ銀行のアナリスト、クリスティアン・ライヒェルター氏は、同行は7月の利上げは予想していないが、夏休み明けの利上げはあり得ると述べた。
データがECBに示す意味
鉱工業生産データは遅行指標ではあるが、紛争が心理に重くのしかかる中でも4月の経済にある程度の底堅さが見られたことをECBに示す証拠となる。火曜日に発表されるドイツのZEW景況感指数は、企業がどのように見通しを評価しているかについて、より先行性の高い指標を提供するだろう。
ECBは現在、エネルギーコストに起因するインフレを抑制するために利上げを行う一方、鉱工業生産データが示し始めている回復を阻害しないという、微妙なバランスを迫られている。LSEGのデータによれば、市場は12月までのFRB利上げ確率を約65%と織り込んでおり、米イラン合意発表前の80%から低下している。
ホルムズ海峡が予定通り再開すれば、エネルギーコストの低下により、ECBの行動を促したインフレ圧力の一部が緩和される可能性がある。しかし、ECBの最新予測はすでにインフレが長期化するとの見方を織り込んでおり、鉱工業生産の持続的な回復が見られれば、政策当局者は経済がさらなる引き締めに耐えられるとの確信を強める可能性がある。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。