主なポイント:
- 6月2日、米10年債利回りは23ベーシスポイント低下し4.44%に
- 投資家は2月末に始まった湾岸戦争後、イランとの停戦交渉の進展を待つ
- 3月の米国債海外保有額は1384億ドル減少、中央銀行がエネルギー価格ショックリスクに対応
主なポイント:

米国債利回りは6月2日に低下し、投資家は中東における停戦の可能性が高まっていると見込んだ。これにより、戦争に起因する急上昇で借入コストが数カ月ぶりの高水準に達していた局面が一部反転した。
米10年債利回りは23ベーシスポイント低下して4.44%となった。Tradewebのデータによると、5月中旬には4.67%を記録し、2月末に米国とイスラエルによる対イラン戦争が始まって以来の最高水準となっていた。今回の低下は、ベンチマーク利回りとしては3週間ぶりの大幅な単日下落であり、中東地域からの外交シグナルが停戦交渉の進展を示唆したことが背景にある。
「債券市場は実質的なデエスカレーションシナリオを織り込みつつある。これは、紛争開始以来、長期金利に織り込まれていたエネルギー価格のリスクプレミアムを除去する動きだ」とHSBCのチーフアジアエコノミスト、フレデリック・ニューマン氏は述べた。「停戦が実現すれば、安全資産への需要がリスク資産へと回帰し、利回り曲線に急激な反転が生じる可能性がある」
利回り低下はより広範な逃避行動を反映し、金は1オンス当たり28ドル上昇して2365ドルに、ドル指数は0.3%低下して103.8となった。S&P500種株価指数は0.9%上昇し、エネルギーおよび防衛セクターは出遅れた。VIX恐怖指数は1.8ポイント低下して18.4となり、過去1年の平均値21.2を下回った。
3月の米国債海外保有額は1384億ドル減少し、前月比1.5%の低下となった。中央銀行がエネルギー価格ショックに備えてポートフォリオを調整したことが要因だ。
米国債最大の海外保有国である日本は、約470億ドル削減し、1兆1900億ドルとした(米財務省国際資本システムのデータ)。インドは76億ドル、カナダは69億ドル、アラブ首長国連邦は58億ドルをそれぞれ売却した。一方、英国はトレンドに逆行し、296億ドル増加させて9269億ドルとした。
ゴールドマン・サックスは5月27日付のメモで、今回の売りは中央銀行による歴史的な準備資産管理の慣行と一致しており、ドル資産からの構造的なシフトを示すものではないと指摘した。「湾岸戦争開始以降の金融ボラティリティの高まりと、それに伴う特にアジアでの為替レートへの圧力を踏まえれば、中央銀行による米国債保有が減少したことは驚きではない」とニューマン氏は述べた。
直近の低下にもかかわらず、借入コストはなお高止まりしている。10年債利回りは依然として2月末の戦前水準である3.95%を49ベーシスポイント上回っている。
戦争に起因するエネルギー価格の高騰は米国政府の資金調達コストに浸透しており、ブルッキングス研究所の予算・税制フェロー、ジェシカ・リードル氏によると、国家債務の利払い費は2021年から3倍に増加し、年間1兆ドルを超えている。平均住宅ローン金利は9カ月ぶりの高水準に上昇し、自動車販売は資金調達コストの上昇が消費者需要を圧迫して落ち込んでいる。
ジョージ・W・ブッシュ大統領時代にホワイトハウス経済諮問委員会委員長を務めたグレン・ハバード氏は、米国は将来の経済危機に対処するための借り入れ余力を以前と同じようには持っていない可能性があると述べた。「2008年や2020年のような余裕は、今の米国にはないと思う」と、現在コロンビア大学ビジネススクール教授を務めるハバード氏は語った。
10年債利回りが1日の取引で20ベーシスポイント以上下落したのは、2025年4月以来である。この時は米中が暫定的な関税休戦に合意したことを受けての動きであり、その後2週間でS&P500は3.2%上昇し、リスク選好が戻った。
停戦が実現すれば、10年債利回りはエネルギーリスクプレミアムの消散に伴い4.10%に向けて低下する可能性があるとエコノミストは予想している。ただし、現在の政策が続けば10年以内に年間4兆ドルを超えると予測される持続的な財政赤字が、利回りの持続的な低下余地を制限する可能性もある。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。